柳桜園茶舗

明治初期創業、宇治茶を商う老舗茶舗。茶人の信頼厚く、長きに渡り三千家をはじめとする茶道各流派や各宗派のご本山へ茶を納めています。

挽きたての抹茶を「量り売り」

足を踏み入れると、昔ながらの座売りの様子、そしてずらりと並ぶ重厚な茶壺に目がいきます。店内を見回してもプラスチックはほとんど目に入りません。茶は主にスチール製の茶缶に納めており、もとよりプラスチックの使用は多くありません。

店の最大の特色は、香り高い挽きたての抹茶。抹茶は基本的に缶入りでの販売ですが、お客様の中にはその缶を「通い缶」として持参し、中身のみ量り売りで購入される方も少なくありません。近年、「ゼロウェイスト」や「パッケージフリー」といった取組が進む中で、世界的に「量り売り」が見直されつつありますが、柳桜園の抹茶の量り売りは、創業以来変えることなく続けている商いの形です。

お客さまの「通い缶」に目の前で茶を詰める

戸棚に並ぶ空の茶缶はすべてスチール製

包装資材について

包装紙は数種類用意しており、自宅用に購入されるお客さまには簡易的なクラフト紙で包みます。それも不要とおっしゃられる方もあり、「しまつの心」が今も京の町に根付いていることを感じます。

お茶はご進物にも多く利用されます。ご進物の包装は、近年、過剰包装を控える形へ変わってきました。最近では人気商品のひとつであるほうじ茶の箱を、和紙を用いたしっかりとした箱から、簡易な組み立て箱に変更。取引先の提案もあり、FSC認証(森林の環境保全に配慮し、経済的にも持続可能な形で作られた林産物に与えられる認証)を受けた資材を採用しました。茶缶と合わせたデザイン性もよく、お客さまからも好評です。紙の使用量やコストを下げることにも繋がりました。

目的に応じて包装紙を使い分ける

お土産としても人気のほうじ茶

新しい組み立て箱は従来の箱より軽やかな印象

バイオマスプラスチックへの切り替え

20207月の「レジ袋有料化」に合わせて、レジ袋をバイオマスプラスチックのものに切り替える予定でしたが、有料化以降、辞退される方が思いのほか多く、在庫がなかなかなくなりません。切り替えは今あるものを使いきってから。もう少し先になりそうです。

これからの展望をおききしました

お茶のことを第一に考えると、挽きたての新鮮なものを、ふんわりとした状態でお渡しするのがよかろうと、今もこのような形でお抹茶を提供させていただいています。一度お抹茶を袋詰めにしてから缶に入れて販売すれば、鮮度は長く保たれますし、挽き過ぎや足りないなどのリスクもなく、店としては楽ではあります。ですが、私どもは周囲が時代とともに変化していく中で、「変化しないこと」を選び、そこをご支持いただいていると思っていますので、昔のものは昔のまま、積極的に変えずにいたいと考えています。

そもそも茶は、栽培の段階から本当に無駄がなく、捨てるところがありません。抹茶や玉露になる茶葉の新芽は日光を遮る覆いをして栽培しますが、元々は植物の葦を編んだ「菰」(こも)の上に、わらを振って遮光していました。遮光の役目を終えると、わらは茶の木の根元に下ろして土に還し、翌年の養分となります。まさに持続可能。そういった伝統的な栽培法を継承している茶園もありますので、応援したいと考えています。

恥ずかしながら「環境によいことを」という意識は希薄かもしれません。ただ、茶を第一に考えてきたことが、昔のやり方を残すことに繋がり、結果としてプラスチックをほとんど使わない商いの形を維持できたのかと思います。これからも、もったいない精神といいますか、「しまつ」のこころは大事にしていたい。昔の知恵に学ぶことが本当に多いと日々感じています。

(代表取締役社長 伊藤寛和氏/20233月)

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